行政プロジェクトの民間委託事例とメリットとは?

ミーティング

行政や自治体における民間委託のメリット

日本の行政では、2007年に行なわれた日本郵政公社の民営化を代表に、2000年ごろから行政や自治体のサービスについて民間委託の導入が活発になりました。

そのため、現在では広い範囲で行政や自治体に民間委託が導入されています。

代表的な民間委託は、ゴミ収集や学校給食といった現場で行う行政サービスや、行政や公共施設の窓口業務でしょう。

その他にも行政が主導で行うイベントや行政によるアンケート調査といった、行政プロジェクトの運営についても民間委託が導入されています。

さらに地方自治法の改正によって、図書館や保育園といった行政が運営する施設の運営や管理も、民間委託の導入の範囲となっています。

では、なぜ行政のサービスへさかんに民間委託が導入されるようになったのか、みなさんはご存知でしょうか。

行政サービスや行政プロジェクトを民間委託するメリットとはいったいどのようなものでしょうか。

行政や自治体が民間委託を導入するメリットには大きく2つ挙げられます。

メリットの1つ目は行政サービスにおけるコスト削減効果、そしてメリットの2つ目は行政サービスの質の向上です。

特にメリットの1つ目である行政サービスのコスト削減は、それまでの行政にとって大きな問題となっていました。

近年の行政の地方自治法改正による地方分権の動きを受け、各自治体は行政サービスをはじめとする財源の確保を自治体で行わなければならず、そのため行政が歳出削減に力を入れる必要が出てきたのです。

そこで、行政や自治体は行政サービスの一部を民間委託することにより、それに携わっていた公務員の異動や削減によるコスト削減の効果や、行政にはない民間のサービスを取り込むことによる行政サービスの質を向上させる効果をメリットとして狙っています。

このように、行政サービスの採算性向上やサービス向上が求められる現在において、民間委託導入によるメリットは行政や自治体にとって欠かせないものとなっているのです。

デスクの画像

行政プロジェクトの民間委託先に必要なこと

以上のように、行政歳出の削減は民間委託導入の大きなメリットです。

では、行政の民間委託先はコスト削減ができればどこでも良いのかといえば、そうではありません。

例えば、行政機関の窓口業務は直接地域の方へ応対する自治体の顔となる業務ですので、窓口業務のサービス低下はその自治体の評価につながります。

また、ゴミ収集は地域の方が快適に暮らすために必要な行政サービスですので、安定したサービスが提供できないと、暮らしを守るという行政の目的が果たせなくなります。

行政の民間委託において、委託先は委託業務に対して質の高いサービスの提供が可能であり、また信頼がおける事業者にしなくてはならないのです。

行政による民間委託の歴史において、コスト問題を重視しすぎたことで信頼のおけない事業者へ民間委託を行い、十分な行政サービスが提供できなくなった問題の事例は少なくありません。

また、緊急雇用創出事業は行政からの事業委託などにより雇用を創出する制度ですが、この緊急雇用創出事業を悪用してNPO法人が行政から受けた事業費を横領する問題が起こりました。

このように、民間委託先についてしっかりと行政が選別をしなけば、大きな問題が起こりうるのが民間委託のデメリットです。

図書館イメージ

指定管理者制度とは

このように行政サービスへの民間委託導入の広がりとともに、保育園や図書館といった、公共施設管理についても民間委託が進んでいます。

保育園や図書館といった施設管理の民間委託については、2種類の方法があります。

1つ目の施設管理法は、
施設管理者の範囲での業務内容を委託し、施設の所有権は行政が持つ、施設管理業務委託を導入する方法です。

この施設管理業務委託では、施設管理者は清掃や窓口業務など委託された業務内容のみを行いますので、施設管理だけを委託したい場合にメリットがあります。

一方で、施設の所有権は行政が持っているため、施設管理者は委託された業務以外を行うことがなく、行政側が民間からの大胆な企画や経営手腕を取り入れようとする場合には適さないというデメリットがあります。

2つ目の施設管理法は、
施設管理だけでなく運営の範囲まで行政から民間委託する、指定管理者制度を使う方法です。

以前は、保育園や図書館といった公共施設は行政による運営に限られていましたが、法改正により指定管理者制度の導入によって、指定管理者に認定することで運営から一括で民間委託できるようになりました。

指定管理者制度には施設運営にかかわる企画から行うことができるというメリットがあるため、民間委託によって赤字の施設運営を黒字にするようなことも可能となります。

しかし行政サービスと同様に、適切な指定管理先を選ばなければ施設の質を落としたり、また民間委託によって公共施設が本来持つべき役割から逸脱してしまう場合があるといったデメリットもあります。

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派遣会社に行政プロジェクトを民間委託するメリット

このように行政や自治体が民間委託を導入するにあたっては、その委託先の選択が重要となります。

この民間委託先の一つとして効果的なのが派遣会社です。

派遣会社には即戦力として広い範囲の資格やスキルを持った人材が多く、特に窓口業務や事務作業など行政サービスに必要な資格やスキルが確保されているメリットがあります。

また、行政によるアンケート調査のような行政プロジェクトにおいては、多数の人員を導入する必要がある場合があり、そのようなときにも派遣会社の活用が効果的です。

派遣会社へ導入人員の確保からアンケート調査まで委託することで、行政側は様々な手間を省けるというメリットがあるのです。

その他、施設管理に必要な資格を持った人員も備えているため、施設管理業務委託や指定管理者としての施設管理運営も委託することができるというメリットがあります。

しかしながら
派遣会社によっては、人材の提供だけしかできない、人材の管理ができない、アンケート調査をしてもその後の集計・分析ができない…といったところも少なくありません。

このような委託先では行政側の手間が増え、十分なコスト削減効果やサービス向上効果を得ることができず、デメリットになります。

行政プロジェクトの民間委託先を選ぶ上で必要なのは、その会社がイベント運営やアンケート調査といった行政プロジェクトの運営に関して、企画や改善の提案ができるかどうかをみることなのです。

工場

行政プロジェクトの民間委託事例

それでは、行政プロジェクトの民間委託事例について以下にご紹介します。

行政の委託事例1)
定額給付金申請受付及び審査業務委託の事例

自治体での書類審査・データ入力の業務内容について延べ3000人が動員される予定でしたが、業務開始までのわずかな期間で業務実施体制や個人情報取扱の管理体制について整えることが大きな課題でした。

これに対し、派遣会社では官公庁での業務経験をもとに、スタッフの業務フローとQ&Aの作成や、想定される問題・トラブルへの対応策について行政側へ提案。

また、徹底した事前の個人情報保護研修実施と現場での管理体制の構築により、迅速かつスムーズに委託業務を遂行し、行政サービスの向上に貢献することができました。

行政の委託事例2)
緊急雇用創出基金事業による、地産地消サポーター制度活用促進事業業務委託の事例

地産地消の向上を目的に、サポーター加盟店舗の斡旋や地元の食材の各種PRを行う業務について、緊急雇用創出事業の制度の範囲内で未就業者を雇用し、研修教育からイベント運営まで行わなければいけないことが大きな課題でした。

これに対し派遣会社では過去の緊急雇用創出事業の経験をもとに、人材派遣会社としての研修・教育ノウハウによる人材育成計画や、販売促進やプロモーションのノウハウから地域企業とのコラボレーションやイベント出店、インターネットでのPR活動を行政へ提案。

実際の運営では、常駐とスポットのPR人員を組み合わせることで低コストで効率的なイベント運営を行い、イベントの成功によるPR効果、またサポーター加入者数の目標を達成する事ができました。

このように、イベント運営やアンケート調査の経験が豊富で対応力や企画力に優れた派遣会社を民間委託先に選ぶことで、行政側の手間を省き、行政プロジェクトにおける民間委託導入効果を実感することができるのです。